各種相談窓口
脳腫瘍
脳腫瘍の治療はいかに機能を温存して最大限の効果をあげるか、ということが問題となります。
その為に手術治療のみならず、患者さんの状態や診断名に応じて各種治療を組み合わせて行う必要があります。当院脳外科では、年間約20~30件の脳腫瘍の手術実績があり、群馬県内では治療実績の多い病院です。特に脳下垂体腫瘍の患者さんは県内各地から紹介されてきます。
神経膠腫(グリオーマ)の治療
脳組織そのものから発生する浸潤性の腫瘍で正常組織と混在しているために手術的に全部摘出
をすることは困難です。臨床的悪性度に併せてグレード1(良性)からグレード4(悪性)まで分類され
ます。グリオーマの治療は手術、放射線、化学療法をその人の状態に併せて組み合わせて行います。
手術的治療
開頭術を行い、術前に計画された領域の腫瘍を摘出します。アミノレブリン酸という物質を用いて手術中に紫色レーダーをあてて、蛍光発色させることで手術中の腫瘍の存在部位を確認しながら行います。
放射線治療
神経膠腫のグレード2~4に対しては放射線外照射が有効です。通常分割照射を4~6週間にわたり行います。
化学療法
グレード3~4の腫瘍に対しては、プラチナ製剤、テモダゾロマイドなどによる化学療法を一般に行います。
髄膜腫の治療
髄膜腫は主として脳の表面の膜から発生する腫瘍で、90%は良性ですが10%に悪性のものが含まれます。基本的に手術的全摘出を目指しますが、部位によっては摘出が困難な場合があります。通常良性の腫瘍であるため、ゆっくりと増大し、症状が出現した時点ではかなり大きくなって発見される傾向があります。組織学的に悪性のものに対しては、手術所見と併せて放射線治療の追加を行う場合もあります。
下垂体腫瘍の治療
脳下垂体は頭蓋底の部のトルコ鞍というくぼみにあり、この部分に発生する腫瘍は視力視野症状やホルモンの症状をおこします。通常ゆっくりと大きくなりますが、経過の速いものも存在します。
手術的治療
下垂体腫瘍の第一選択治療は経鼻的な摘出術です。当院では左の外鼻孔から鼻の奥の骨を
削除し、トルコ鞍に達する方法を主として行っています。低侵襲で、一般に早期の離床が可能です。
薬物治療
ホルモン産生する腫瘍のなかでプロラクチン産生腫瘍、成長ホルモン産生腫瘍には薬物療法が行われる場合があります。
放射線治療
下垂体腫瘍に対して放射線治療の再発予防効果は認められていますが、ホルモン分泌障害を
来しやすいため、再発時に行うか又は定位放射線治療(ガンマナイフなど)を行う場合があります。
転移性脳腫瘍の治療
脳転移はこれまで極めて予後の悪い状態とされています。これまで患者さんの状態や手術可能な部位、単発転移などの場合に手術的治療を行っています。1993年ごろから導入された定位的放射線治療(ガンマナイフなど)は直径25mm未満という大きさの制限はあるものの、多発性の転移に治療可能であること、短期間で終了し他の治療との併用であることなど、低侵襲で治療可能で、長期間に渡り腫瘍を制御できるようになってきています。